気候変動

CO2削減はなぜ必要?企業の取り組み事例や個人でできることとは?

今、世界中でCO2削減の取り組みが盛んです。

環境問題を目にしても必ず出てくる「CO2削減」の言葉ですが、一体なぜCO2削減が必要だと言われているのでしょうか?

企業ではどういう取り組みが行われているのか、個人でできるCO2削減対策が気になります…

今回はCO2削減はなぜ必要なのか、さらに、企業の取り組み事例から個人でできることをご紹介していきます。

CO2の削減はなぜ必要なの?

まずはじめに、CO2削減はなぜ必要なのか、わかりやすく解説していきましょう!

CO2削減は世界中が共通で取り組むべき事柄です。

その理由は、地球温暖化にあります。

CO2やメタンガスなどの温室効果ガスと呼ばれるものは、地球の温度を暖める働きがあります。

もし温室効果ガスが地球に存在しなかったら、地球の温度はマイナス19度くらいになると言われています。

しかし、逆にこの温室効果ガスが増えすぎると、気温が上昇し、温暖化してしまうのです。

実際に、世界の平均気温は上昇傾向にあり、近年はその気温上昇スピードが早まり、このまま進めば2100年までに1.1〜6.4度上昇すると言われています。

温暖化することで、海面の上昇や自然災害の増加、生物の減少など、地球上の全ての生き物に悪影響が及びます。

CO2は温室効果ガスの中でも特に、地球温暖化への影響が大きいと言われており、CO2削減の必要性が訴えられているのです。

CO2削減目標は?

では、具体的に、どのくらい削減したらいいのでしょうか?

じつは、環境省により2021年4月に、CO2などの温室効果ガスに関して具体的な目標値が定められています。

それは2030年度までに、46%削減(2013年と比較して)することです。

さらに、50%削減の挑戦を続けることも表明しています。

また、アメリカの削減目標は2005年と比較して50〜52%、ヨーロッパ連合は1990年と比較して55%、イギリスは1990年と比較して68%です。

日本を含めた上記の国全てで、2050年にはカーボンニュートラル実現を目標としています。

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出をゼロとすることを言います。

この削減目標は、年々強化されているため、次の見直しの際はもっと削減数が大きくなっている可能性があります。

そのくらい、CO2などの温室効果ガス削減は地球にとって大切な事柄なのです。

CO2削減のための企業の取り組みとは?

ここまでで、CO2削減の必要性や各国が目標値を掲げ行動していることがわかってもらえたと思います。

では、CO2削減のため、企業はどのような取り組みを行っているのでしょうか?

ここからは、企業のCO2削減の取り組み事例をご紹介しましょう!

1つ目は、運送業者の取り組みです。

運送業に欠かせない自動車は、CO2排出量のうちとても大きな割合をしめています。

そのことを受けて、ヤマトホールディングスと佐川急便は車両にハイブリット車や電気自動車のようなクリーンエネルギー車を採用し、近隣の配達では自転車の使用も積極的に行うことで、CO2削減に貢献しています。

2つ目は、イオンの取り組みです。

イオンは全国17000店舗以上、世界11カ国に進出する大型小売業です。

その全店舗で、2025年までに使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替えることを目標にした取り組みが行われています。

その他にも、一般家庭から余剰電力の買取、地域への植樹など、サステナブルな活動に積極的に取り組んでいます。

3つ目は、トヨタ自動車の取り組みです。

車を作る工場をスリム化しただけでなく、使う電力を再生可能エネルギーに変更し、さらには今後工場から出るCO2をゼロにするという目標を掲げています。

トヨタ自動車のこれらの取り組みは大変高い評価を得ており、ブランド総合研究が行った調査では3年連続で最高評価を得ています。

4つ目は、サントリーの取り組みです。

サントリーと言えば、清涼飲料水ですが、そこで使用されるペットボトルのリサイクル技術を向上させ、なんと石油由来原料に比べCO2を約70%削減できるシステムの開発に成功しました。

また、2050年までにCO2排出量ゼロを目標としています。

5つ目は、ユニクロの取り組みです。

ユニクロは、店舗とオフィスの使用電力を100%再生可能エネルギーへ転換し、商品製造におけるCO2排出量も2019年から20%削減するという目標を掲げています。

どの企業も多くの人が知る有名企業ですね。

CO2削減の動きが、大企業から中小企業へと伝わっていくことが大切です。

CO2削減のために個人ができることは?

では、私たち個人がCO2削減のために、何かできることはないのでしょうか?

最後に、CO2削減のために個人ができることをご紹介して終わりたいと思います。

個人でできることの1つ目は、エアコンの温度設定です。

地球温暖化のため、夏の暑さがエアコンなしでは乗り切れない温度になってきました。

しかし、エアコンは家電の中でも多くの電力を使用する機器の1つです。

そのため、温度設定で少しでも電気の節約が必要になります。

例えば、冷房の際に1度温度を上げる、暖房の際に1度温度を下げるなどです。

冷房を1度上げると約13%、暖房を1度下げると約10%、電気代が節約できます。

それと比例してCO2の量も減らすことができ、一石二鳥です。

2つ目の個人でできることは、自動車の使用を控えることです。

経済産業省によると、1世帯あたりの平均CO2排出量は約3,900キログラムと言われており、その中でもガソリン車によるCO2排出量は全体の21.6%と2番目に多い割合でした。

(1番目は自宅にある全ての家電製品で47.6%)

そこを、半分ほど自転車や徒歩に置き換えると、世帯内で10%のCO2削減に繋げることができます。

3つ目の個人でできることは、待機電力のカットです。

使われていない家電であっても、コンセントにささっているだけで待機電力というのが発生します。

長時間使用しない場合は、コンセントを抜き、待機電力をカットしましょう。

そのことで、1世帯あたり年間6000〜7000円の節約、消費電力は5.1%の削減になります。

これが最も簡単にできるCO2削減方法ですね!

ちょっとした工夫で、個人でも地球のために活動することができるのです!!

まとめ

今回はCO2削減はなぜ必要なのか、さらに、企業の取り組み事例から個人でできることをご紹介しました。

CO2が排出されることで、地球温暖化に大きな悪影響を与えます。

それを受けて、世界各国でCO2削減の目標が掲げられました。

そして、企業もさまざまな方法で、CO2削減を目指した取り組みを行っています。

企業だけでなく、個人での対策もとっても大切です。

1人1人が地球のことを考え、ちょっとした工夫でCO2削減ができたらいいですね!

この記事を参考に一緒に取り組んでいきましょう!

この記事もおすすめ

生物多様性とは?重要性や危機についてもわかりやすく解説!

環境問題が語られる時、よく耳にする言葉が「生物多様性」です。

何となく意味はわかるけど「生物多様性とは?」と聞かれると、答えに自信がない人がほとんどではないでしょうか?

今回は生物多様性とは何のことかを解説し、さらに重要性や危機についてもご紹介していきます。

地球に生きる全ての生物に関係する事柄なので、この記事をきっかけに、より興味を持ってもらえると幸いです!

生物多様性とは?

では早速、生物多様性についてご紹介しましょう。

生物多様性とは、地球に生きる全ての生物の繋がりを指します。

生物は地球上の長い歴史の中で、どんどん数を増やし、何百万もの種類が誕生しました。

それらの全てが直接的・間接的に繋がり、支え合って生きています。

生物多様性には、3つのレベルで分類される多様性が存在します。

① 生態系の多様性

1つ目は、生態系の多様性です。

生態系とは、その場所その場所に存在する生物や環境、それらが生きるために循環するシステムのことです。

地球全体には、それぞれの地域にあった生態系が多様に成立しており、そのことを生態系の多様性と呼んでいます。

② 種の多様性

2つ目は、種の多様性です。

地球上には、何百万もの種類の生物が生息しており、そのことを種の多様性と言います。

認知されている生物は約175万種ですが、それだけではなく、3000万種以上の未知種が存在しているという推測もあります。

③ 遺伝子の多様性

3つ目は、遺伝子の多様性です。

同じ種の生物であっても、個々では遺伝子が違い、見た目や声などに個性があります。

ヒトもそうですが、虫や貝でもそれぞれ柄が違うなど、多様性がひろがっており、そのことを遺伝子の多様性と呼びます。

生物多様性の重要性

次は、そんな生物多様性の重要性をご紹介します。

数多くの生物が多様に生きているおかげで、私たち人間も快適な生活を送ることができています。

例えば、魚を食べることができる、木材で家を建てることができる、空気を吸うことができる、綺麗な水を飲むことができるなどです。

これら生態系があってこそ受けられる恩恵のことを、生態系サービスと言います。

また、数多くの植物から取り出した成分から医薬品を製造し、その経済効果は何億円、何兆円にものぼります。

経済効果だけでなく、それで病気が治ったり緩和したりするのですから、生物多様性は人間にとって、とても重要で有難い存在であることがわかります。

しかし、残念なことに今、地球は生物多様性の危機に立っているのです。

生物多様性の危機

一体、どうして地球は生物多様性の危機に立っているのでしょうか?

それは毎年4万種もの生物が絶滅していると言われているからです。

この推定は生物多様性研究で知られるノーマン・マイヤーズ氏によって割り出されました。

恐竜が生息した2億年前には、1000年間に1種のペースで生物が絶滅し、100年前には1年間に1種、1975年には1年間に1000種、現在ではそのペースが加速し、1年間に4万種類の生物が絶滅しているそうです。

その原因は、私たち人間のこれまでの行動にあります。

例えば、土地を増やすために森林を伐採し、そこで生活していた虫や動物の生態系を乱しました。

また、ペットなどの目的で外国から動植物を輸入し、在来種の中に外来種が混在し、外来種が在来種を食べ尽くしてしまうなどの影響もあります。

逆に、人間が手を加えなくなったために生物が絶滅に近づいているパターンも存在します。

現代の自然離れから、人が里山に踏み入ることが減り、管理されずにこれまで保っていた生態系を乱す結果となったのです。

そして、地球温暖化による影響です。

気温や海水温の上昇、降水量の増加、台風の凶暴化などにより、生物たちに悪影響が出ています。

多くの生物種が絶滅することで、これまでの生態系が乱れ、将来的に今まで当たり前に食べていた魚が食べられなくなったり、木材で家を建てられなくなる可能性もあります。

これは絶滅する生物だけでなく、生き残る生物たちにも重大な危機と言えるのです。

私たちができること「MY行動宣言」とは?

生物多様性の危機に立っていることはわかりましたが、私たち個人ができることは一体何なのか…具体的に知りたいですよね。

環境省は、これら生物多様性の危機に対して、私たちができることを「MY行動宣言」と題して5つにまとめています。

Act1 地元でとれたものを食べ、旬のものを味わいます。」

https://undb.jp/action/

地元でとれたものを食べることで、地元の食べ物に興味を持つことができます。

さらに、生産者と消費者の距離を縮めようという地産地消の取り組みにも一致します。

Act2 自然の中へ出かけ、動物園・植物園などを訪ね、自然や生きものにふれます。」

https://undb.jp/action/

自然と触れ合うことで、生物多様性を身をもって体験することができます。

現代人の自然離れの解消にも近づけます。

Act3 自然の素晴らしさや季節の移ろいを感じて、写真や絵、文章などで伝えます。」

https://undb.jp/action/

誰かが誰かに伝えることで、自然の良さが多くの人に拡がります。

また、写真や絵、文章で記録することで、自然をより深く観察することに繋がります。

Act4 生きものや自然、人や文化との「つながり」を守るため、地域や全国の活動に参加します。」

https://undb.jp/action/

その土地その土地の文化に触れることで、多様な世界の存在に気づくことができます。

人と自然がともに生きていることを実感し、生物多様性への理解を深めます。

Act5 エコラベルなどが付いた環境に優しい商品を選んで買います。」

https://undb.jp/action/

環境に優しい商品を選んで買うことで、生物多様性を守ることに繋がります。

多くの企業や団体がエコ活動を行っていることを知ることができます。

これらの行動をすることで、生物多様性への理解を深め、生物多様性を守る意識を高めることができますね!

まとめ

今回は生物多様性とは何なのか解説し、さらに重要性や危機についてもご紹介しました。

生物多様性とは、地球に生きる全ての生物の繋がりを意味し、「生態系の多様性」「種の多様性」「遺伝子の多様性」という3つのレベルが存在することがわかりました。

生物は、たくさんの他の生物の存在によって生きており、人間もさまざまな生態系サービスを受けています。

しかし、年々生物は絶滅し、今、生物多様性の危機に立っています。

私たち個人でできることは生物多様性への理解を深め、周囲に伝え、エコな商品を利用する、活動に参加することです。

これからも生物多様性の有り難さを意識して、環境を大切にしていきましょう!

この記事もおすすめ

気候変動でどんな影響があるの?身近な具体例をあげてご紹介!

ここ数年で一気に耳にするようになった「気候変動」という言葉!

どこか遠い国のお話…と感じていた人も、最近になってどんどん現実をおびてきたのではないでしょうか?

しかし、まだ実感のない人も少なくはないはず。

今回は気候変動で今現在、私たちがどのような影響を受けているのか、身近な具体例をあげてご紹介していきます。

「気候変動」について勉強し、今後の地球での暮らし方を考えていきましょう!

気候変動とは?原因は?

まずは、気候変動とは一体何を指すのかご紹介します。

気候変動とは、気温や湿度、降水量などの気候が変動していくことを言います。

名前の通りですから、きっと多くの人が理解していると思います。

ただ、気候変動がどうして起こるのか、原因を詳しく説明できる人は少ないかもしれません。

気候変動の原因は、2つ考えられます。

1つ目は、自然による気候の変化です。

地球は生きている惑星ですから、海からは水蒸気が出ており、火山活動も活発に行われています。

さらに、地球の周りをまわる太陽や月も常に活動しています。

これらが原因で、自然に気候変動が起こっているのです。

そして、2つ目は、人間による気候の変化です。

今、問題になっている原因はこちらですね。

人間が生活をするための、発電や物の生産、その物を運ぶ輸送、大量消費などによって温室効果ガスが排出されています。

その温室効果ガスが大きな問題なのです。

排出された温室効果ガスは地球を覆うように留まるため、地球上の熱を逃すことができなくなります。

よって、熱がこもった状態が続き、温暖化という気候変動へと繋がっていくのです。

これまでは産業の発展を優先するあまり、温室効果ガスの排出には注目が集まっていませんでした。

しかし、世界中の気候変動が顕著になった今、温室効果ガスの排出を減らす活動が各国で行われています。

とはいえ、私たち個人の中では、まだ危機意識の薄い人も多いと思います。

ここからは、気候変動がもたらす身近な影響について、わかりやすくご紹介したいと思います!

身近な気候変動の影響① 異常気象

1つ目の身近な気候変動の影響は、異常気象です。

例えば、年間の真夏日を見てみましょう。

気象庁のデータによると、1910年から1939年の間の真夏日の平均が35日間に対して、1990年から2019年の間の真夏日は約41日間と6日も増加しています。

さらに、これまでの観測史上最高気温の10位ランキングのうち、7つの記録が2018年以降に観測されたものでした。

最新情報では、今年(2023年)の7月に、東京都の猛暑日が最多を更新しています。

多くの人が実感している通り、実際に気温の上昇が見られており、夏の過酷さが高まっていることがわかります。

また、環境省によると、このまま何の対策もしない場合、21世紀末には東京都の年間真夏日が約103日間にもなると考えられています。

つまり、無対策だと1年の3分の1が気温30度以上の真夏になるということです。

暑いのはもちろん日本だけではありません。

世界的にも、NASAなどが今年の7月(2023年)は「1850年以降最も気温が高い月」だったことを発表し、特に南北アメリカ、北アフリカ、南極半島の一部が平年を約4度上回りました。

異常気象は気温だけでなく、台風にも影響しています。

気温が上がることで海面の水温も上昇します。そして、温かい海面が原因で台風の勢力が強くなり、しかも勢力が強まる位置が年々北上していると科学雑誌「ネイチャー」から指摘されています。

台風勢力が強くなる位置が北上する=台風が強い勢力を保ったまま日本にやってくることを意味します。

台風の数に変化はありませんが、近年、台風の勢力が強まっているのは、気候変動による異常気象が原因だったのです。

身近な気候変動の影響② 海面上昇

2つ目の気候変動の影響は、海面上昇です。

世界的に気温が上昇することで、北極や南極にある氷が溶け出し、海面の上昇に繋がっています。

IPCC第5次評価報告書によると、21世紀(1986〜2005年平均から2081〜2100年平均まで)の海面上昇の値は26〜82センチメートルと言われています。

これは海に囲まれた日本にとって、とても深刻な状況だと言えます。

それは海面が1メートル上昇することで、日本の9割の砂浜が失われると予測されているからです。

上記報告書の予想年まで、まだ時間があるとはいえ、未来の日本人が住む場所を失う可能性があると考えると、楽観視できるデータではないことがわかります。

身近な気候変動の影響③ 生態系の変化

最後3つ目の身近な気候変動は、生態系の変化です。

これは上記2つの影響から生まれる結果です。

気温と海面の上昇によって、多くの動物たちが絶滅の危機に立っています。

例えば、ホッキョクグマやコアラ、トナカイ、アオウミガメなどです。

私たち日本人からするとほとんどが動物園にいる動物なので、身近には感じられないかもしれませんが、絶滅の危機に立っているのは動物たちだけではありません。

植物も同様です。

日本で言うと、冷温帯で見られるブナ林(落葉広葉樹林)が減少し、アカガシなどの暖温帯林が増加します。そのことでブナ林を好む昆虫や貝類が一緒に減少していきます。

さらに、野生のツキノワグマもブナ林の実を食べ物としているため、ブナ林が失われることで食べ物を求めて、山の麓に降りてくる可能性が高まります。

そのことで人的被害や農作物の被害にも繋がりかねません。

生態系の変化は一見自分に影響が少なそうに見えますが、回り回って最終的には、人間の生活にも関係してくるのです。

まとめ

今回は気候変動で今現在、私たちがどのような影響を受けているのか、身近な具体例をあげてご紹介しました。

気候変動とは、気温や湿度、降水量などの気候が変動していくことを言います。

その原因の1つは、人間が排出した温室効果ガスと考えられています。

そして、身近な影響として「異常気象」「海面上昇」「生態系の変化」の3つをご紹介しました。

どれも人間や動物・植物にとって、とても重大な問題であることがわかってもらえたと思います。

これらの問題を遅らせるために、温室効果ガスの排出を減らすなど、何らかの対策が必要になります。

私たち個人には、まず知るということ、エコな商品を使用すること、無駄な消費をしないことなど、できることを意識することが大切です。

この記事もおすすめ