動物愛護

絶滅危機の生物リスト「レッドリスト」とは?ランクや意義は?

この地球には何千、何万、それ以上の生物が暮らしている一方で、数多くの生物が絶滅の危機に瀕していると言われています。

そんな絶滅危機の生物をリスト化した「レッドリスト」の存在をご存知ですか?

今回は絶滅危機の生物リスト「レッドリスト」とは何なのか、ランクや意義、さらにリストに載っている絶滅危機の動物をご紹介していきます。

絶滅危機の生物リスト「レッドリスト」とは何?詳しく解説!

では早速、絶滅危機の生物リストである「レッドリスト」について、詳しく解説していきたいと思います。

「レッドリスト」とは

「レッドリスト」とは、絶滅危機のある野生生物をリストアップし、データとしてまとめたものを言います。

「レッドリスト」の正式名称は「絶滅のおそれのある種のレッドリスト」で、スイスにある国際自然保護連合(以下、IUCN)が作成しています。

現在確認できている野生生物は213万1,499種で、その中の14万7,517種がレッドリストに入っています。

さらに、レッドリストにはランクがあり(詳細は後述)、14万7,517種の中の約4万2,100種が最も絶滅の危機にあるカテゴリーに位置付けられています。

なお、IUCNの「レッドリスト」を参考に、また別途の調査を行ったうえで、日本国内でも「レッドリスト」が作成されています。

日本国内全体としては環境省が、各地域では公共団体やNGOが、その土地によく生息する野生生物を調べ、リスト化しています。

「レッドリスト」と「レッドデータブック」の違い

絶滅危機の生物に関しては、「レッドリスト」だけでなく、「レッドデータブック」という資料も存在します。

名前は似ていますが、この2つには違いがあります。

「レッドリスト」は絶滅危機に瀕した生物のリストのことで、「レッドデータブック」はレッドリストの解説として生息状況などを詳しくまとめた内容の本のことです。

「レッドリスト」だけでなく「レッドデータブック」があることで、より詳しく絶滅危機の生物について知ることができますね。

絶滅危機の生物リスト「レッドリスト」のランクや意義は?

さて続いては、絶滅危機の生物リスト「レッドリスト」のランクや意義についてご紹介しましょう。

「レッドリスト」のランク

前述でも少し触れましたが、「レッドリスト」に掲載されている生物全てが深刻な絶滅危機にある訳ではありません。

絶滅の深刻度合いをランク付けしているのです。

以下の表をご覧ください。

https://transit.ne.jp/2022/03/001496.html を参考に作成)

表の上へいく毎に深刻レベルがアップしています。

また、黄色で囲った「Critically Endangered(CR)」「Endangered(EN)」「 Vulnerable(VU)」は一般的に「絶滅危惧種」と呼ばれるランクです。

ちなみに、日本のレッドリストでは以上の3つを「絶滅危惧IA類(CR)」「絶滅危惧IB類(EN)」「絶滅危惧II類(VU)」と呼んでいます。

細かくランク付けされることで、深刻度合いがわかりやすくなっていますね。

「レッドリスト」の意義

では、そもそも「レッドリスト」の存在意義とはどういうところにあるのでしょうか?

それは野生生物の保護です。

「レッドリスト」に入っているからといって、その生物がすぐに保護されるということはありません。

しかし、「レッドリスト」のランク付けがなされているため、それに沿ってより深刻な生物を保護の対象にすることができます。

さらに、「レッドリスト」に入った絶滅の危機が高い生物を、なぜ絶滅しそうなのか調査し、増やすにはどうすればいいか解決策を議論することもできます。

また、研究者や生物多様性保全などの活動が行われる時にも、「レッドリスト」は有効活用されます。

何よりも、絶滅しそうな生物を守り、その絶滅が回避されるのであれば、「レッドリスト」の存在意義は地球にとって、とても高いことがわかりますね。

「レッドリスト」に載っている絶滅危機の動物は?有名なものを一覧で!

では最後に、「レッドリスト」に載っている絶滅の危機が高い有名な動物を10種類ご紹介していきます。

① オランウータン

1種類目は、オランウータンです。

ランクは絶滅危惧IA類(CR)。

絶滅危機の理由は、森林破壊、気候変動だと言われています。

② シロサイ

2種類目は、シロサイです。

ランクは絶滅危惧ⅠA類(CR)。

絶滅危機の理由は、人間による密猟だと言われています。

③ アジアゾウ

3種類目は、アジアゾウです。

ランクは絶滅危惧b類(EN)。

絶滅危機の理由は、生息地が減少しているからと言われています。

④ チンパンジー

4種類目は、チンパンジーです。

ランクは絶滅危惧ⅠB類(EN)。

絶滅危機の理由は、森林破壊や狩猟によるものだと言われています。

⑤ トラ

5種類目は、トラです。

ランクは絶滅危惧ⅠB類(EN)。

絶滅危機の理由は、生息地の減少や密猟だと言われています。

⑥ レッサーパンダ

6種類目は、レッサーパンダです。

ランクは絶滅危惧ⅠB類(EN)。

絶滅危機の理由は、生息地の減少だと言われています。

⑦ クロマグロ

7種類目は、クロマグロです。

ランクは絶滅危惧Ⅱ類(VU)。

絶滅危機の理由は、乱獲によるものと言われています。

⑧ ラッコ

8種類目は、ラッコです。

ランクは絶滅危惧ⅠA類(CR)。

絶滅危機の理由は、海岸の開発や漁の際に意図せず捕獲してしまう混獲によるものと言われています。

⑨ トド

9種類目は、トドです。

ランクは準絶滅危惧種(NT)。

絶滅危機の理由は、漁業の際に害獣としての駆除を受けたからと言われています。

⑩ ホッキョクグマ

10種類目は、ホッキョクグマです。

ランクは絶滅危惧Ⅱ類(VU)。

絶滅危機の理由は、地球温暖化による生息地の減少と言われています。

どの動物も、私たち日本人にとって動物園で見かける馴染みのある動物です。

野生では、これらの動物たちが日々命を落としていると考えると、とても悲しい…絶滅危惧種の保全がいかに大切かわかってきますね。

まとめ

今回は絶滅危機の生物リスト「レッドリスト」とは何なのか、ランクや意義、さらにリストに載っている絶滅危機の動物をご紹介しました。

「レッドリスト」とは、絶滅危機のある野生生物をリスト化したもので、絶滅危機の度合いでランク付けも行われています。

それを元に保護や研究など、さまざまなところで活用されていることがわかりました。

絶滅危機の動物たちはここでご紹介したものの何倍も多くいます。

多くの生物が絶滅せずに済むように、私たち個人はまず知るところから始めましょう!

興味を持つことが、生物とうまく共存できる明るい未来に繋がります!!

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が、その前に、絶滅危惧種とは何か簡単に解説しておきましょう。

絶滅危惧種とは

絶滅危惧種とは、野生生物の中で絶滅の危機にある生物種のことで、一般的に国際自然保護連合(IUCN)が「レッドリスト」に掲載し、絶滅危機だと定められた生物のことを言います。

その「レッドリスト」に含まれる生物種はなんと14万7,517種!

その数は年々増加しているのです。

恐竜がいた時代、1種類の生物が絶滅するのに1000年の時間を有していました。

しかし、近年では生物の絶滅が加速し、1975年から2000年のたった25年の間に平均4万種が絶滅、計算すると13分間に1種の生きものが絶滅していることになります。

さらに、将来はこれの10倍の速さで生物が絶滅すると言われています。

これはとても恐ろしいことですね…

ではここからは、そんな生物たちがどうして絶滅するのか、絶滅危惧種が増える原因をご紹介していきます。

原因① 土地の開発・汚染

1つ目の原因は「土地の開発・汚染」です。

人間は昔、家もビルも何もない自然の中で生活していました。

しかし、日々文明は発達し、森や林は壊され、土地が開発、また工場などの増加で環境が汚染されるようになりました。

そのことで、生物たちは住処を失ったり、汚染された場所で命を落としたりしました。

人間が便利になればなるほど、その他の生物が絶滅したり、その危機に陥ったりしているのです。

原因② 乱獲や密猟

2つ目の原因は、乱獲や密猟です。

人間は生物を食べて生活しています。

食べるだけでなく、薬品や毛皮で服や装飾品を作るなど、生物からたくさんの恩恵を受けています。

その中で、必要以上に大量に捕獲(乱獲)し続け、生物を絶滅危機に追い込むことがあります。

他にも、規制された生物を違法に捕獲する密猟なども問題となっています。

原因③ 外来種の持ち込み

3つ目の原因は外来種の持ち込みです。

例えば、外来種の生物を住むべき地域とは別の場所へ持ち込み、放ったとします。

すると、その地域の生態系は乱れ、在来種が外来種に食べられたり、住処を奪われるなどの悪影響が及びます。

外来種の持ち込みによる生態系の乱れは、ニュースなどでも数多く取り上げられるほど大きな問題です。

原因④ 地球温暖化

そして4つ目の原因は地球温暖化です。

地球温暖化によって、世界各地で気候変動が起こっています。

これまでと違った環境は、生物たちにとって深刻です。

例えば、スマトラオランウータンは温暖化で降水量が増えたことで、食べ物が減ってしまい、成長や繁殖が困難な状態にあると言います。

また、ウミガメは卵を産み落とす砂浜の温度によって生まれる性別が決まるのですが、温暖化によって温度が高いことが続くため、メスが増え続け、繁殖に悪い影響を与えているとのこと。

ここでは紹介しきれないほど、地球温暖化は生物絶滅の原因になっているのです。

これら全て、人間のせいで生物が絶滅の危機を迎えていることがわかります。

たくさんの生物が絶滅したらどうなる?

たくさんの生物が絶滅したらとても悲しいですよね。

人間のせいであれば、余計に可哀想です。

しかし、そんな感情的な話ではなく、たくさんの生物が絶滅することで私たち人間にとっても深刻な状況をもたらすのです。

前述した通り、私たち人間は多くの生物からいろんな部分で恩恵を受けています。

恩恵を受けている生物だけが生き残ればいいのかというと、そうではありません。

生物多様性という言葉が示すように、生物はどこかしらで繋がりを持っています。

1種類の生物が絶滅することで、その周囲の生物が絶滅し、さらにその周囲の…と連鎖が始まるのです。

物理学者のアインシュタインが「ミツバチが絶滅したら4年後には人類も滅びる」という言葉を残した通り、1種類の生物の絶滅はおいおい人間の絶滅にも繋がりかねないのです。

絶滅危惧種が増えないようにみんなができる対策は?

では、絶滅危惧種が増えないようにどうしたらいいのでしょうか?

国や企業だけの問題ではなく、私たち個人でもできることはあります。

ここからはみんなができる対策をご紹介していきましょう。

対策① 自然を大切にする

1つ目は、自然を大切にすることです。

例えば、キャンプやバーベキューなどで自然へ行ったとします。

そこではしっかりゴミを拾って帰ります。

川や海にゴミが流れないように十分注意しましょう。

また、自然にいる生物たちにも危害が及ばないように気をつけましょう。

よくあるのが、自然にいた動物が可愛いからと餌をあげてしまうことです。

それもまた生態系の乱れに繋がるため、行わないようにしましょう。

対策② ペットは責任を持って飼う

2つ目はペットは責任を持って飼うことです。

よくあるのが珍しい外来種の爬虫類、両生類、魚などをペットショップで飼ったのに、飼えなくなって林や水辺に捨てたという例です。

このことで在来種が激減、外来種が大量発生なんてこともあり得ます。

また、植物も同様のことがいえます。

もし事情があって爬虫類などが飼えなくなったら、購入したペットショップへ相談すると引き取ってくれる場合があるそう。

ただやはりペットは責任を持って最後まで飼う、それが難しければ飼わないほうが生物のためでもありますね。

対策③ 節電など環境に優しい生活をする

3つ目は節電など環境に優しい生活をすることです。

これは地球温暖化の対策になります。

電気をこまめに消したり水道を節約したり、温暖化の原因となる温室効果ガスの抑制に努めましょう!

以上が生物を絶滅させないための対策になります。

どれも当たり前のことですが、しっかり意識して、生物の絶滅危機を食い止めましょう。

まとめ

今回は絶滅危惧種が増える原因について、たくさんの生物が絶滅したらどうなるのか、みんなができる対策についてご紹介しました。

絶滅危惧種が増える原因は、全て人間のせいと言える内容でした。

たくさんの生物が絶滅したら、人間にとっても暮らしにくい地球になってしまいます。

個人でできることは少ないかもしれませんが、みんなが意識を高く持って行動することで、ちょっとずつ改善されることを願います!

未来のために自然を大切に過ごしていきましょう。

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