貧困

世界の貧困とは?女性の貧困が深刻。私たちにできることは?

SDGsの目標の中に「貧困をなくそう」という項目があります。

貧困と一言に言われても、どのような状態が貧困なのかイメージがつきにくいかもしれません。

今回は世界貧困について、定義や現状をまとめ、さらに深刻と言われる女性や子どもの貧困について、最後に私たちにできることをご紹介していきます。

世界の貧困とは?定義や現状は?

まず最初に、世界の貧困について、定義や現状をご紹介します。

貧困とは

貧困には、世界各地でさまざまな定義がなされています。

世界的に有名なのは「国際貧困ライン」を基準としたものです。

国際貧困ラインとは、世界銀行によって定められた指標で「ある価格で買える商品が、他国ならいくらで買えるかを示す交換レート」通称、購買力平価(PPP)に基づいて算出されています。

設定した1990年は1日1ドルでしたが、どんどん引き上がって2022年には1日2.15ドルになりました。

国際貧困ラインでは、1日2.15ドル未満で生活を送る人を「貧困」と呼びます。

日本円で言うと、1日約320円(2023年11月26日現在)未満、1ヶ月(30日)で9600円未満です。

家賃や光熱費、食費の全てと考えると、健康的な生活が難しい状態であることが想像できます。

絶対的貧困と相対的貧困

貧困は、絶対的貧困と相対的貧困に分けられます。

前述した1日2.15ドル未満で生活を送る人は「絶対的貧困」といい、「最低限必要とされる食糧と食糧以外のものが購入できるだけの所得または支出水準(=貧困ライン)に達していない状態」のことを言います。

つまり、住む家がなく食事もままならない状態ということです。

一方、相対的貧困は、所得がその国の中央値の半分を下回っている人のことです。

日本の場合、2021年時点で所得の中央値が254万円なので、その半分の127万円を下回っている人のことを相対的貧困と呼びます。

貧困の現状

ではここで、世界の貧困と日本の貧困の現状についてまとめていきたいと思います。

世界銀行は、2022年末時点で世界の絶対的貧困者は6億8500万人であり、新型コロナ問題をきっかけに7000万人増加したことを発表しました。

国別では、貧困層の割合が最も多いのがインド、続いてナイジェリア、コンゴ民主共和国でした(2015年:https://www.worldbank.org/ja/news/feature/2019/12/20/year-in-review-2019-in-charts)。

また、相対的貧困率では南アフリカが最も高いことがわかっています(2020年:https://www.globalnote.jp/post-10510.html

一方、日本では「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」によって「2021年の相対的貧困率が15.4%」であったことが発表されました。

これは先進国で最悪の数値であり、米国や韓国にも抜かれる結果となりました。

特に深刻なのがひとり親世帯の44.5%で、2人に1人が貧困であることがわかっています。

貧困の理由

貧困になる理由はいろいろと考えることができます。

例えば、戦争や紛争、災害、親の貧困による連鎖、離婚などです。

特に戦争や紛争での貧困は、避難するために衛生環境の悪いシェルターで暮らし、現金収入を得る機会も限られます。

十分な食べ物を確保することも困難なため、栄養不良の子どもたちが多く存在しており、世界的にも問題となっています。

また、女性という性別で貧困になっている場合も多く、SDGsでもそれを問題視した「ジェンダー平等を実現しよう」という目標が掲げられています。

女性の貧困はより深刻!その理由は?

ではここからは、女性の貧困について、その理由をまとめてご紹介していきます。

女性の貧困が多い理由1 給料が安い

大きな理由は、女性の給料が安いからです。

例えば、日本では2021年度の平均給与が、男性545万円であるのに対して、女性は302万円と、243万円も下回っています。

女性の活躍が目立つ米国でも、男女の給料には格差があり、女性のほうが少ないのが現状です。

給料が少ない理由は、女性に管理職が少ないなどが考えられます。

どうして女性に管理職が少ないのかというと、出産や育児、介護、家事など家庭内のことを担う場面が女性のほうが多く、継続して就業できなかったり、休暇を取ることで評価を下げられる場合があるためです。

女性の貧困が多い理由2 非正規雇用が多い

また、非正規雇用が多いことも給料が安いことに繋がります。

前述の通り、家庭内の仕事を女性が担うことが多いため、正社員から時間的に融通のきく非正規雇用で働く女性が非常に多いです。

シングルマザーなどのひとり親世帯も、周囲からのサポートが受けられない場合、非正規雇用を選ばざるを得なくなっています。

子どもの貧困にも影響

シングルマザーの貧困は、子どもの貧困にも影響を及ぼします。

「2022年 国民生活基礎調査の概況」によると、日本の子どもの貧困率は11.6%で、9人に1人が貧困状態です。

その中の多くはひとり親世帯で、シングルマザーの割合が多くなります。

女性1人1人が家庭内の仕事にとらわれず、サポートしてもらえる環境になると、女性の貧困、そして子どもの貧困問題が解決に向かうでしょう。

世界の貧困問題、私たちにできることは?

最後に、世界の貧困問題について、私たちができることをご紹介します。

現状を知る

まずは現状を知ることです。

興味を持つことで、自分にできる「何か」を知ることができます。

その現状を周囲の人に話して情報共有してもいいでしょう。

また、ボランティアなどのイベントに参加することで、生の声やよりリアルな現状を知ることができます。

人助けにもなるので、人間としての成長もできそうですね!

フェアトレード製品を購入する

お次は、フェアトレード製品を購入することです。

フェアトレード製品とは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で販売している製品のことです。

これまで、立場の弱い開発途上国の生産者が作ったものは、通常よりも安く取引され、適正な報酬を得られないなどの問題が発生していました。

そこをしっかり見直した「公平・公正な貿易」によって入ってきた製品を購入することで、開発途上国の人たちを助けることに繋がります。

寄付をする

最後は寄付をすることです。

1日数百円の寄付でも、開発途上国にとっては大きな支援に繋がります。

信頼できるNGOでは、寄付金の使われ方や活動を発信しているところも多いため、自分の寄付金がどうなるのかわかりやすいですよ!

世界的な寄付だけでなく、日本国内でも子ども食堂や子どものセーフティーネットなど、NPO法人が寄付金を募集しています。

少額から始めてみるのもいいですね!

まとめ

今回は世界の貧困について、定義や現状をまとめ、さらに深刻と言われる女性や子どもの貧困について、最後に私たちにできることをご紹介しました。

世界には私たちの想像以上に、貧しい生活を強いられている人たちがいます。

世界では絶対的貧困者は6億8500万人、日本でも相対的貧困者が先進国で最悪という結果が出ています。

貧困は他人事ではありません。

まずは知ることから始めてみましょう。

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世界で深刻な飢餓とは?定義や2023年の現状、対策は?

日本では、日常的に食べ物が溢れており、飽食状態にあると言われています。

しかし、世界では飽食の反対「飢餓」がSDGsの目標の1つとなるほど深刻なんです。

今回は世界で深刻な飢餓とは?定義や2023年の現状、飢餓をなくすための対策についてご紹介していきます。

飢餓とは何?定義や現状は?

まず最初に、飢餓とは何を指すのか定義について、さらに2023年の現状をみていきましょう。

飢餓とは

飢餓とは、長期間にわたって満足な食事ができず、栄養不足が続き、生活ができない、または命の危機に陥っている状態のことをいいます。

国連世界食糧計画(WFP)では、以下のように定義付けされています。

身長に対して妥当とされる最低限の体重を維持し、軽度の活動を行うのに必要なエネルギー(カロリー数)を摂取できていない状態

引用:国連世界食糧計画
https://www.wfp.org/support-us/stories/donate?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=12712293304&utm_content=120989103775&gad_source=1&gclid=CjwKCAiAs6-sBhBmEiwA1Nl8s6KEvdeKZF_kp8xXzdpbvMyMRRsh08vTqOFMKAKDDnPwusDX9p2QLxoCHQ8QAvD_BwE&gclsrc=aw.ds

この飢餓は、SDGsの目標の1つ「2.飢餓をゼロに」で、世界的な問題として取り上げられています。

食品ロスが問題となっている日本では、聞き馴染みのない言葉ですが、その裏で、世界には飢餓に苦しみ、命を落としている人々がたくさんいるのです。

飢餓の現状

ここで、飢餓の現状をご覧いただきます。

国連機関の発表によると、2022 年の世界の飢餓人口は6 億 9,100 万〜7億 8,300 万人と推定されました。

新型コロナ流行により1億人近くが増加、今後も高止まりが予想されている状況です。

この飢餓人口の現状は、世界を40人1クラスの学級だと例えると、その中の4人が明日食べ物があるかわからない状態ということです。

とてもショッキングな現状であることがわかりますね。

飢餓の原因は何?

そんな飢餓の原因は一体どこにあるのでしょうか?

ここからは飢餓の原因をいくつかご紹介していきます。

紛争

まず1つ目は、紛争です。

世界では多くの紛争が行われています。

紛争が起こると、農作物を育てることができなくなります。

さらに、農地からも追い出され、食べ物を得る手段を失います。

仕事もできないため、収入を失い、食べ物を買うこともできなくなり、飢餓に陥ります。

国連機関は2017年に、10年以上減少傾向にあった飢餓が増加に転じた理由として、紛争をあげています。

気候変動

2つ目の原因は、気候変動です。

気候変動で、干ばつによる砂漠化、害虫の大量発生、洪水など、さまざまな災害が起こり、農作物を作ることができない地域が出てきたのです。

そうなると食べ物を得る手段として、輸入のみに頼ることになり、供給が不安定な状態になります。

人口増加

3つ目の原因は、人口増加です。

上記の原因でただでさえ食べ物が少ない状況下で、人口が増加したことにより、さらに飢餓状態の人々が増えることになりました。

人口増加の理由は、医療の発達が1つだといわれています。

それは良いことなのですが、人口と同じく飢餓人口も増えてしまっているため、とても難しい問題といえますね。

貧困

そして4つ目の原因は、貧困です。

紛争がなく、農作物を自給できる地域でも飢餓はたくさん存在します。

その原因の多くは食べ物が買えない、貧困だと言われています。

貧困も飢餓と同じくSDGsの目標に入るほど、深刻な問題です。

ちなみに、日本の飢餓人口は、5.1%で20人に1人(2020年のデータ)、その原因のほとんどが貧困によるものと考えられています。

飢餓は世界のどこかの話ではなく、私たち日本人にもとても身近な問題なのです。

飢餓が多い国は?

お次は、飢餓が多い国についてご紹介します。

アフリカ

1つ目は、アフリカです。

アフリカの飢餓の理由は前述の「紛争」「気候変動」「人口増加」「貧困」全てに当てはまります。

サハラ砂漠以南のアフリカでは、特に飢餓が深刻で子どもが栄養不足で亡くなることも珍しくはありません。

「国際赤十字・赤新月社連盟」の2022年の発表によると、サハラ砂漠以南のアフリカでの飢餓人口は1億4600万人で、日本の人口を上回っています。

南アジア

2つ目の国は、南アジアです。

南アジアは食料自給率が高く、気候変動によって農作物が育たないという原因は多くありません。

しかし、貧困が深刻なため、食べ物が買えない場合が多く、飢餓状態に陥っています。

南アジアの中でも、特にインドに飢餓の人が多く、2018年には飢餓人口の4分の1がインドの人々だと言われていました。

飢餓をなくすためにできることは?

世界では、飢餓の人々が多く、とても深刻であることがわかりました。

では、今現在、飢餓に対してどのような取り組みが行われているのでしょうか?

最後に飢餓をなくすために行われている対策についてご紹介しましょう。

食糧支援

1つ目は、食糧支援です。

飢餓の人々には今すぐ食べるものが必要です。

そのため、緊急の支援として食糧を支援することが大切になってきます。

日本も国として、政府開発協力(ODA)で世界に支援を行っています。

日本の資金は、国連世界食糧計画(WFP)を通じて、飢餓に苦しむ人々へ食糧として届けられています。

個人での寄付を受け付けている団体もあるため、自分で何かしたい気持ちがある方は、よく調べた上で寄付を行ってみましょう。

食糧自給支援

2つ目は、食糧自給支援です。

例えば、アフリカで農作物を作ることができなかった人たちに、「ニュー・ライス・フォー・アフリカ」、通称「ネリカ米」の作り方を教えて食料自給できるよう支援した例もあります。

また、女性が農業できるように女性生産者のプロジェクトなども行われています。

食糧を支援することは大切ですが、支援が途絶えた時、また食糧に困ることになり、とても不安定です。

自ら食糧を生み出すための支援、これも食糧支援と同じくらい大切になってくるのです。

フェアトレード商品の購入

そして最後は、私たち個人でも手軽にできる支援の方法、フェアトレード商品の購入です。

フェアトレード商品とは、立場の弱い開発途上国で作ったものを、公平・公正な価格で購入できる商品のことです。

立場の弱い開発途上国の人は安い賃金で仕事をさせられ、安い金額でものを売っています。

それを適正な価格で購入することで、賃金も上がり、飢餓の原因になっている貧困を止めようという目的があります。

フェアトレード商品は、コンビニやスーパーなどで購入することができるため、私たちが手軽に行うことのできる支援といえるでしょう!

まとめ

今回は世界で深刻な飢餓とは?定義や2023年の現状、飢餓をなくすための対策についてご紹介しました。

世界で起こっている飢餓は、とても深刻で意外にも身近でした。

現状を知ると、いち早く飢餓をゼロにする活動を進めないといけないことがわかります。

さまざまな対策が行われていますが、私たち個人でも寄付やフェアトレード商品の購入など、できるところで支援を行いましょう。

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