
SDGsに貢献すると注目されている「フェアトレード」。
何となく言葉から想像するものがありますが、実際はどんなものなのでしょうか?
どうして必要なのか、歴史についても気になります!
今回はフェアトレードとは何なのか、必要性や歴史をわかりやすく解説していきます。
フェアトレードとは?基準はある?

まず最初に、フェアトレードとは何なのか、基準やSDGsとの関係をご紹介します。
フェアトレードとは
フェアトレードとは、「公平・公正な貿易」のことです。
世界では、経済的に豊かな国と貧しい国が貿易を行った際、力関係の差で豊かな国が得をし、貧しい国が損をする、という貿易が存在します。
そんな不公平な貿易はやめて、公平な貿易を行おうという取り組みがフェアトレードなのです。
フェアトレードには、国際フェアトレードラベル機構が定める「国際フェアトレード基準」と呼ばれる基準があります。
その基準の原則は、「経済的」「社会的」「環境的」の3つに分けられます。
詳細は以下の図表をご覧ください。

経済的基準には、生産者が経済的に損しないように「最低価格の保証」や「必要に応じた前払い保証」などが含まれています。
また、社会的基準には、主に労働環境を中心とした項目が目立ちます。
労働環境や児童労働、差別の禁止まで、幅広く労働環境を守る内容です。
最後の環境的基準には、農薬などによる人的被害や環境汚染がないように、「農薬・薬品の使用削減と適正使用」「土壌・水源・生物多様性の保全」という項目が含まれています。
力の弱い国が損をしないよう、さまざまな視点で基準が設けられていることがわかりますね。
SDGsに大きく貢献
このフェアトレードは、SDGsにも大きく貢献しています。
当てはまると考えられる目標は以下の8つです。
「目標1 貧困をなくそう」
「目標2 飢餓をゼロに」
「目標5 ジェンダー平等を実現しよう」
「目標8 働きがいも経済成長も」
「目標12 つくる責任つかう責任」
「目標13 気候変動に具体的な対策を」
「目標16 平和と公正をすべての人に」
「目標17 パートナーシップで目標を達成しよう」
「目標1 貧困をなくそう」「目標2 飢餓をゼロに」は、貧しい国との貿易を公平・公正に行うことで経済的に潤い、貧困や飢餓の減少が期待できるからです。
「目標5 ジェンダー平等を実現しよう」「目標8 働きがいも経済成長も」は、フェアトレードによって良い労働環境が増え、女性の地位向上に貢献、さらに働きがいや経済成長も促されるため、当てはまります。
また、フェアトレードは環境に配慮された生産が原則のため、「目標12 つくる責任つかう責任」「目標13 気候変動に具体的な対策を」もクリアできます。
「目標16 平和と公正をすべての人に」はフェアトレードの目的そのものですし、フェアトレードは国内外で拡がりを見せており、今後も拡がっていくことから「目標17 パートナーシップで目標を達成しよう」にも該当することがわかります。
フェアトレードが世界的にもっと拡がれば、SDGsの目標がどんどん達成されることが期待できますね!
フェアトレードはどうして必要なの?

さて、ここまででフェアトレードとは何なのか、SDGsにも貢献する取り組みであることがわかってもらえたと思います。
では、どうしてフェアトレードが必要なのでしょうか?
それは過去に数多くのフェアではないトレード(不公平な貿易)が行われてきていたからです。
例えば、経済的に豊かでない開発途上国が生産者となるコーヒー豆も、不公平な貿易がよく行われる輸入品です。
私たちが考えるモノの取引は、売り手が商品の価格を決めるというイメージだと思います。
しかし、実際は、生産している国ではなく経済的に豊かな先進国が商品の価格を決めます。
その価格は世界情勢によって高騰したり暴落したり、激しく変動します。
さらに、間に中間業者が入ることで、生産者の手元に残るお金がとても少なくなってしまうのです。
経済的な部分だけでなく、人手不足による労働環境の悪化、児童が働かなくてはいけない状況、輸入国が定めた農薬による被害など、生産国側が損をする貿易が数多くありました。
そこを解決するために、フェアトレードが必要となったのです。
フェアトレードの歴史は?いつから始まった?

では、そんなフェアトレードはいつから始まったのでしょうか?
最近よく耳にするようになった言葉ですが、じつは結構前から行われてきた取り組みでした。
フェアトレードの始まりは、1940年代後半のアメリカでNGOが女性たちの作った手芸品を販売したことからだと言われています。
その頃はフェアトレードという言葉はなく、「オルタナティブ・トレード」(Alternative Trade、もうひとつの貿易)と呼ばれ、チャリティーの意味合いが大きかったそうです。
オルタナティブ・トレードは国を超えて拡がっていき、1970年代には開発途上国の生産品を公正に輸入するという形に変わっていきました。
そして、名前もフェアトレードと呼ばれるようになりました。
日本では、1974年に東京の「シャプラニール」というNGO団体が、洪水被害にあった女性たちの作った手工業品を日本で販売したのが始まりです。
急激に増えたのは、2000年以降。
SDGsの登場で注目を集めたことで、さらに増え、現在はスーパー、コンビニなど身近な場所でフェアトレード製品を購入することができます!
フェアトレードという言葉が浸透し始めたのは最近ですが、じつは長い歴史のある取り組みだったのですね。
まとめ
今回はフェアトレードとは何なのか、必要性や歴史をわかりやすく解説しました。
フェアトレードとは、「公平・公正な貿易」のことで、SDGsの目標には8つも当てはまる取り組みです。
「経済的」「社会的」「環境的」の3つの基準があり、いろんな視点から公正な取引を考えていることがわかりました。
これまでに不公平な貿易が数多く行われてきたからこそ、これからの世界でのフェアトレードの増加は必要不可欠です。
フェアトレードは歴史が長い取り組みですが、まだまだ一般的になっていないのが現状です。
私たちが興味を持ち、知ることで、フェアトレードへの注目がもっと高まり、多くの生産者が平等な報酬、快適な労働環境などを得ることができればいいですよね!