これまでに数名の日本人がノーベル賞を受賞しています。

ノーベル賞には7つのカテゴリーがあり、その中でもノーベル平和賞は、過去に唯一1人の日本人しか受賞していません。

ノーベル平和賞とはどのような賞なのでしょうか?ノーベル賞の歴史や近年の受賞者と併せてご紹介します!

ノーベル平和賞とは?

ノーベル賞は、物理学・化学・生理学・医学・文学・平和・経済学の7つのカテゴリーに分類されており、それぞれの分野で評価をされた科学者や研究者などに与えられる名誉ある賞です。

その中で異質なのが、ノーベル平和賞。

戦争の解決、人権問題の解決、国際協力の推進など、世界の平和に貢献をした個人や団体に贈られる賞なのです。

ノーベル平和賞の定義と歴史

ノーベル平和賞を設けた目的は二つあります。

「平和に貢献した人や団体を称えることで、その功績を讃える」

「平和の重要性を広く啓蒙し、世界中の人々に平和への意識を高めてもらう」

引用元:Spaceship Earth

https://spaceshipearth.jp/nobel-peace-prize/

スウェーデンの化学者、発明家であるアルフレッド・ノーベルはダイナマイトを発明したことで巨万の富を得ました。そして、そのダイナマイトという発明は、建設や採掘などの産業に革命をもたらしたと同時に、戦争でも使用され、多くの命を奪うことにもなりました。

その後、アルフレッド・ノーベルは自身が発明から得た巨額の財産を使って、人類の平和と発展に貢献した個人や団体を称える賞を創設することを決めました。

それが、100年以上もの歴史を持つノーベル賞の始まりです。

人の役に立つことを目標に研究を続けた結果、自身の発明品が多くの命を奪ってしまったという辛すぎる経験から、研究分野以外に、人々の平和を願うノーベル平和賞の設立を願ったアルフレッド・ノーベル。

残念ながら、ノーベル平和賞が創設される前に亡くなってしまいましたが、遺言通り、彼の死後にノーベル平和賞は創設されました。

選考方法と評価基準

ノーベル平和賞の受賞条件にはさまざまな規定がありますが、代表して下記が挙げられています。

・平和に貢献をした個人または団体であること

・受賞時点で、死亡または解散(団体)していないこと

・平和に貢献をし、受賞するにふさわしく、かつ世界中から支持されていること

また、ノーベル平和賞で掲げられる「平和」とは、戦争や紛争がない状態を指します。

平和に貢献するということは、戦争や紛争を解決することであり、それにつながる人権問題や国際問題に貢献することが条件とされています。

賞金の発表と用途

ノーベル平和賞の賞金は毎年変わりますが、約1,100万スウェーデンクローナ(約1億3,000万円)と言われています。

この賞金は、受賞者の資産となり、受賞者の判断で使用できます。

ただし、賞金の用途はノーベル委員会への報告をする必要があります。

ノーベル平和賞の受賞者は平和に関する活動を行っている人なので、賞金も寄付や研究資金に使われることが多いです。

その結果、ノーベル平和賞を受賞することで、さらに平和に貢献ができる仕組みとなっています。

ノーベル平和賞受賞者

それでは、具体的にどのような個人や団体がノーベル平和賞を受賞しているのでしょうか?

受賞に至った活動内容も合わせてご紹介します!

近年の受賞者

ナルゲス・モハンマーディ(2023年、イラン)

科学者で人権活動家であるナルゲス・モハンマーディは、2023年、獄中にあってノーベル平和賞に選出されました。

女性の権利に関する活動を行っており、「イランにおける女性の弾圧に抵抗し、すべての人々の人権と自由を促進する戦いに対して」ノーベル平和賞を授与しました。

市民自由センター(2022年、ウクライナ)

2007年5月30日にウクライナのキーウで設立され、ウクライナで民主化の取り組みをしている団体です。

「権力を批判し、市民の基本的人権を守るための権利を促進し、平和と民主主義のために、市民社会の重要性を示したことに対して」ノーベル平和賞を授与しました。

メモリアル(2022年、ロシア)

メモリアルはロシアの人権団体であり、政治弾圧に関する歴史や記憶を編纂し公開する活動をおこなっています。

市民の人権に関する活動が賞賛され、市民自由センターと同タイミングで、ノーベル平和賞が授与されました。

アレシ・ビャリャツキ(2022年、ベラルーシ)

アレシ・ビャリャツキはベラルーシの民主化活動家、人権擁護者です。

不正政治や独裁政権の疑いがあるルカシェンコ政権を批判して拘束されましたが、市民の人権に関する活動が賞賛されノーベル平和賞を授与されました。

日本からの受賞者:佐藤栄作

ノーベル賞を受賞した日本人は数名いますが、ノーベル平和賞を受賞したのは佐藤栄作のみです。

佐藤栄作は1974年にノーベル平和賞を受賞しました。

佐藤栄作は戦後、日本の非核三原則に関する活動に取り組み、日本の平和主義を世界に主張しました。

その結果、日本は国際的に信頼を得て、平和国家として認められたのです。

佐藤栄作の取り組みは外部にも影響を与え、米ソ間の緊張緩和にも貢献し、世界を核軍縮へ導いたのです。

まとめ

ノーベル平和賞は平和を象徴する賞であり、世界で評価される栄誉ある賞の一つです。

しかし、世界中の人々が注目する賞である一方で、批判の声もあります。

平和とは、話者により解釈が変わってしまうからです。そのため、政治の偏り、受賞理由の曖昧さ、選考の圧力などに関する否定的意見が多く発せられています。

それでも、ノーベル委員会はこのような批判を必要な過程と捉えており、常に協議を行って運営を行うことが大切であると述べています。

今後のノーベル平和賞の動向に注目してみましょう!

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